中文教本を読む-黄涛「咏春拳」第二章-詠春拳の技術原理 -第九節 攻防同歩

攻防同歩の意味は、一つの手を一つ事に用いる(防守)ことや、他の手を別の事(攻撃)を行うことに用いることでは決してない。

詠春拳において多発する状況下では、攻防の一手において両方の効能を実現することである。

実戦格闘中、相手の拳または蹴りが打ち出されて来た時、いかなる拳法においても対策が存在する、

一般的には第一手でそれに対応し、しかる後の一手で反撃するというものだ。これは先に「防ぎ」次に「攻撃」というもので、どれほど上達しても先手と二手の時間を同時にまで短縮することはできない。

速度と効率の上から言うならば、反撃の時間が長くなることは、戦闘に容易に影響を及ぼす、ゆえにこの動作では自然に一呼吸遅くなってしまう。 

詠春拳はこれに有らず、詠春拳の打法は「防守の中に有りながら同時に反撃を行う」のである、すなわち他の拳法流派が二拍で完了させる動作を、一拍で終わらせるということだ。(実際には完了には1.5拍かかるが。)

相手が拳撃または足蹴りが襲って来たとき、詠春“八法”の手さばきにてその攻撃削ぎ取りつつ反撃をする,相手の同時間に私の手さばきと攻撃が第一手として存在する。

拳法一般においてはまず先にブロックし、後に攻撃となる場合の時間がどのくらいかかるかはあまり考えないし、手さばきと連動した発拳の速度を比べることはない。

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 しかし、戦闘の成否は往々にして「数分の一秒」とか「数百分の一秒」といった僅かな時間で決まるものである。従って少しでも快速に、あなたは先手を取らねばならない。言い換えるならば、詠春拳の打ち出す一手には攻防の両方の意味を備えているともいえる。

これは単純な防御手でなく、もちろん攻撃でもない、つまり「攻撃の中に防御あり、防御の中に攻撃あり」ということだ。

 このように、防御(反撃)は相手に対し同時に行われるともいえるし、相手の攻撃に対しあとずさりや飛び退きする中にも攻撃が存在する、まとめるならば「攻めの中に防御あり、防御中にも攻撃が含まれ、攻防は分離しておらず、防攻もしかり、いわゆる“攻守合一”“消打合一”に注意を払え」ということになろう。

 詠春拳技における無の境地において一撃で相手を倒す、以上簡単に奥義を述べた。

驚くべき速度、これこそまさに詠春拳の威力と奥義のあるところなのである。

中線の防守を通じて、しかし相手の両手を追撃するのでなく、詠春拳の練習者は一つの手腕を用いて相手の攻撃をかわし、いなし、同時に相手の中線を攻撃する。この状況下で通常は、肘部に下への圧力が加わった、相手への手腕の状態が発生する。と同時に掌や手腕は攻撃の自由性を保持している。 尋橋套路のなかで摊手(tanshou)をもちいる動きがこの良い実例である。

(続く)

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